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2024年12月8日

【カスタム・プロジェクト】サーリー プリアンブル フラットバー - SON オートライトシステム・ホワイトインダストリーズ シングルスピード化&クランク交換・チェーンリングを40Tから46Tに交換・グロータック EQAUL取付け -

相模原中央店

 

>> サーリー プリアンブル フラットバーについて

 

堅牢なクロモリフレームに、前後キャリアやフルフェンダーの装着もできる拡張性の高さ。サーリーらしくシンプルで自由度の高いコミューターバイクです。

 

以前に納車さて頂きましたが、後日オーナー様より「ハブダイナモによるオートライト化とシングルスピード化をしつつ、全体的にポリッシュカラーへ変えたいです。」とご相談を受け、段階的にアップグレードしていく「カスタム・プロジェクト」を立ち上げることになりました。

 

【目次】

 1. SON オートライト・システム

 2. ホワイトインダストリーズ シングルスピード化

 3. チェーンリングを40Tから46Tに交換

 4. グロータック・EQUALの取付け

 5. ホワイトインダストリーズ ENOクランクに交換(New)

  ・AIによる適切なチェーンライン算出と実証

 

1. SON オートライト・システム(2024年6月)

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オートライト化とシングルスピード化を同時に進めていますが、部品が先に入荷した「オートライト化」から仕上げていきます。

 

今回、前ホイールとオートライト・システムに使用した部品は

「SON NABENDYNAMO SON 28 ディスクセンターロック 32H」

「SON NABENDYNAMO エデュルクスⅡ」

「SON NABENDYNAMO SON リアライトシートポストマウント」

「Dixna バンテージ 21 リム ポリッシュSL 32H」

「DT SWISS Champion #14(2.0)」

になります。

 

 

オートライト化カスタムの要点、オートライト・システムに選んだのはドイツの高品質ハブダイナモメーカー・SON NABENDYNAMO(ソン ナベンダイナモ)。

 
決め手になったのはポリッシュカラーの存在ですが、スポーツバイク向けハブダイナモの中では最高級グレードを誇り、発進時の低速走行でも十分な給電能力でライトを点灯させます。

 

リムの選択は難航しましたが、最終的に「Dixna バンテージ 21 リム ポリッシュSL」に決定。

条件としたのが、

・スポーク数32H

・輝くポリッシュシルバー

・700×35C、またはそれ以上の太さのタイヤが装着できるリム幅

 

単にシルバーのリムでは質感が変わってきますし、ポリッシュシルバーのリムはロードバイク向けであれば他候補もあるものの、クロスバイクの太いタイヤを無理なく装着できるとなると絞られてきます。

 

今回のディズナ・バンテージ21リムは以上の条件を満たしていたので、オーナー様とご相談した上で決定しました。

 

 

SONのオートライト・システムはフロントライト・リアライトの同時使用が可能ですが、給電方法は「ハブダイナモ発電→フロントライト→フロントライトから給電してリアライト点灯」の順になります。

 

フロントライトの「エデュルクスⅡ」の下に平型端子オスがあり、そこにリアライトの「SON リアライトシートポストマウント」の平型端子を接続し、フロントフォーク・ブラケットに丸形の端子を挟み込んで通電させます。

 

 

この取付け工程の中で注意が必要なのが「同軸ケーブルのまとめ方」で、銅線部分が平型端子、丸形端子に接触するとショートを起こしリアライトが点きません。圧着ペンチのワイヤーストリッパーで黒い被覆部分を取ると、透明な被覆が出てくるのでそれは無理に取らずに、それぞれの銅線の先端に端子を圧着して取付けます。

 

端子を付けた後、そのままだと端子や銅線が剥き出しになってしまうので、ドライヤーで出来る熱収縮チューブを使って端子を保護します。

 

 

先述の通り、フロントライト・リアライトは平型端子または丸形端子を介してハブダイナモに接続します。各ライトの入荷時、コード先端に端子は付いているのでそのまま接続はできますが、コードが長いので冗長な印象になります。

 

予備端子もいくつか同封されていますが、もし使い切ってしまった場合は市販の端子を使います。その際に必要になるのが「平型端子メス」や「裸圧着端子丸形」になりますが、この2つに関しては自動車の電装部品用の大きさになっているため、調達する際は以上の点を踏まえるとスムーズです。

 

 

リアライトのコードをなるべく目立たせないように、今回はBB付近まで降ろしてからブレーキケーブルとまとめました。

 

 

ライトを安定的に点灯させつつ、なるべくコード類を目立たせないようにして、いい経験になりました。次回は「シングルスピード化」の予定です。

 

2. ホワイトインダストリーズ シングルスピード化(2024年7月)

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前ホイールのオートライト・システム化とあわせてカスタムプロジェクトのメイン「チェーンテンショナーを使用せずに、超シンプルに魅せるシングルスピード化」に取掛かります。

 

今回、後ろホイールとシングルスピード化に使用した部品は

「WHITE INDUSTRIES ECCENTRIC ENO DISC HUB REAR 32H」

「Dixna バンテージ 21 リム ポリッシュSL 32H」

「DT SWISS Champion #14(2.0)」

「SHIMANO フリーギア 16T」

「KMC S1 1/2"×1/8" 112L」

になります。

 

 

シングルスピード化カスタムの要点はMADE IN U.S.Aにこだわり、超高精度コンポーネントを作り続けるWHITE INDUSTRIES(ホワイトインダストリーズ)の「ENO・トラック」というリアハブ。

 

ストレートドロップエンドのスポーツバイクをシングルスピード化させる場合、チェーンテンショナーを使用したり、チェーンの張り調整を行うために「エキセントリック」という冠詞がついている部品・機構が必要になります。

 

エキセントリックBBであれば「VELOCI ROLLCii EC3 ECCENTIRIC B.B. BSA」が候補になりますが、プリアンブルの場合はクランクセットの交換まで必要になるので、他の方法を模索していたところ先述のリアハブが

 

 

「シングルスピードのチェーン張り調整ができて、ディスクブレーキ対応。しかもポリッシュシルバー。」

 

と、条件が見事に一致。オーナー様からの快諾も得て、手配させていただきました。

 

 

エキセントリックENOディスクハブの組付け方法は少しコツが必要で、まず最初にリアハブをストレートドロップエンドに仮止め(特に左側はトルクをかけない状態で)した状態でチェーンの長さを決めます。

 

上図の状態になりますが、これだと「チェーンテンショナーを使っていないシングルスピード」と同じなので、チェーンが外れやすいです。しかし、エキセントリックENOディスクハブはここからがポイントになります。

 

 

次に左側のボルトを締めていきます。ここでトルクをかけることでリアハブの位置が縦方向に動きますが、左側を先に締めることでフロントギアから離れた位置に移動しようとする、つまりチェーンが張った状態になります。

 

反対に右側の方を締めていくと、リアハブの位置がフロントギアに近づいた位置に移動しようとするのでチェーンの張りが緩んでいきます。

 

 

つまり、エキセントリックENOディスクハブのチェーンの張り調整は

リアハブを仮止め状態でチェーンの長さを決める→リアハブの左側のボルトにトルクをかけ、チェーンを張りつつ固定する→リアハブの右側のボルトを固定する

という流れになります。

 

 

今回のカスタムでは注意点が先述のチェーンテンションの調整以外にもあります。

 

1. ディスクブレーキキャリパーの位置調整

2. ディスクブレーキマウントとのクリアランス

 

エキセントリックENOディスクハブは「ストレートドロップエンドでも、ハブを縦方向にずらしてチェーンテンションを掛ける機能を付与」というのが特徴の部品です。なので、位置変更に伴うその他の調整が必要になってきます。

 

今回はディスクローターの頂点とディスクブレーキキャリパーが接触しました。

 

対処方法はディスクローターをひと回り小さいのに交換するなどありますが、今回はポストマウントタイプだったため、スペーサーを入替えてディスクローターの頂点に当たらないように避けることができました。ただ、フラットマウントタイプだと難しいのでは?と思いました。

 

また、エキセントリックENOディスクハブのエンド幅は135mm。プリアンブルはフレームのリアエンド幅が138mmとなっています。以前までのモデルではロードバイクの130mmに合わせたものが多かったですが、現在では142mm幅のハブとの互換性を優先しています。

 

今回のリアハブは135mmで装着可能でしたが、ディスクローターとブレーキマウントが接触してしまいました。

 

今回は対処法として、リンフ(ハブワッシャー)をフレームとハブの間に挿入することで回避しました。サーリーの汎用性の高さに助けられたような形で、カスタムを完成させることができました。

 

 

完成後、動作確認で試乗してみたところ、シングルスピード特有の「ペダルを踏み込んだときのダイレクト感」がしっかり味わえました。エキセントリックENOディスクハブの調整幅はシングルスピード/ピストバイクについている「チェーン引き」より少ないので、チェーンの半コマは用意しておいてもよいかもしれません。

 

フロントギア40Tに対し、リアのフリーギアは16Tを選択したのでギア比は2.5。元々の8段ギアだと6速(18T)と7速(15T)の間になりますが、しばらく乗ってもらったところ「坂道はいいけど、平地が少し軽すぎる。」ということでフロントギアを大きくする方向で話を進めています。

 

プリアンブルフラットバーに標準装備されている「Samox 3-piece」のPCDは110mmなので、ひとまずチェーンリングを大きいのに変えてみて様子を見てみます。

 

3. チェーンリングを40Tから46Tに交換(2024年8月)

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前回のシングルスピード化でギア比がフロント40T、リアが16Tのギア比2.5になりましたが、オーナー様の通勤コースと脚力だと軽すぎたので、フロントギアを46Tに変更しギア比を2.87まで上げることになりました。

 

 

好みのギア比については手探り状態。手頃な価格のPCD110mm、5アームのチェーンリングで様子を見ましょうという事で「TIOGA チェーンリング 46T シルバー」に交換することに。

 

 

シングルスピードにおけるチェーンリング交換での注意点は、シンプルに「チェーンの長さが足りるか/余らないか」。特に今回のプリアンブルでは、チェーンの張りを調整できる幅が少ないのでチェーンの長さはギリギリになります。

 

今回は40Tから46Tと大きいギアに交換したので、チェーンの長さも影響しました。今回はチェーンの長さが足りなかったです。その際はチェーンを新しいのに交換するのが無難です。

 

4. グロータック・EQUALの取付け(2024年10月)

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ポリッシュシルバー化計画の中で要所となる前後ホイールを完成させ、次に取組んだのは「ディスクブレーキ」。こだわりのパーツで交換していったので、ブレーキもそれに相応しいもので…ということで、グロータック・EQAUL(イコール)をチョイスしました。

 

画像の引用元:グロータック EQAUL

 

EQUALの機械式ディスクブレーキは、機械式(メカニカル)ならではのメンテナンスの安心感はもちろん、「制動力」「軽さ」も世界最高クラス。ロードレースやシクロクロスでのシビアなブレーキングにも、輪行やロングライドでのトラブル対応にも、様々なシーンで使いやすい次世代のブレーキシステム。

 

 

高剛性と軽さを両立するために高強度の超ジュラルミンを使用し、キャリパーのほぼ全ての部品を高精度に削出し。機械式ディスクブレーキキャリパーとしては世界最軽量級の136g(ブレーキパッド含、フラットマウント)を実現。今回取付けた「ポストマウントタイプ」でも実測134gでした。

 

ここまで来れば後は取付けるだけ……ですが、今の状態のプリアンブルにはブレーキ本体交換だけでは取付けできません。次の部品を交換等をする必要があります。

 

1. ブレーキレバーを「ショートプル用」に交換する

2. ディスクブレーキローターを140mmに交換(少なくとも後ろは)する

3. マウントアダプターを140mm用に交換する

4. マウントアダプター分のクリアランス調整をする

 

以上が今回、EQAULを取付けるにあたって必要だった事になります。

 

1. ブレーキレバーを「ショートプル用」に交換する

 

 

グロータック・EQAULはロードバイクやシクロクロスバイク等での使用を想定して設計されたディスクブレーキシステム。レバー比はロードバイクで採用されているブレーキに合わせてあります。

 

つまり、マウンテンバイクやクロスバイクで多く採用されているVブレーキやVブレーキのレバー比になっているディスクブレーキについているブレーキレバーは、レバー比が異なり本来の性能を性能を発揮できなくなるため使えません。

 

初期状態のプリアンブルフラットバーに付いているブレーキレバーは「Vブレーキ用」なので、EQAULと一緒に交換です。

 

 

ショートプルのブレーキレバーはVブレーキ用と比べると種類は少ないものの、無いわけではないのでこだわらなければ入手は比較的簡単ですが、今回はEQAULの質感にあわせて「ダイアコンペ DC175」をチョイス。

 

 

EQAULのシルバーは光沢のあるポリッシュというよりも、梨地加工を施したような少しザラザラした質感。アルミダイカストで成形されたDC175を近づけてみると、質感もまあまあ近くオーナー様のご了承も得ることができました。

 

 

EQUALのセットの中には専用のブレーキケーブルも同封されています。ブレーキアウターケーブルは「ハード」と「ソフト」の二種類あり、ドロップハンドルの「R」のキツイところではソフトを使えるようになっています。今回のフラットハンドルの場合は前後ブレーキともにハードで問題なく取付けできました。

 

2. ディスクブレーキローターを140mmに交換(少なくとも後ろは)する

 

 

EQAULの注意点としては「140mmのディスクブレーキローターを使用」することを前提に設計されています。フロント側は160mmでも使用できますが、リア側に関してはEQAULがローターにぶつかるため、140mmのディスクブレーキローターに交換が必要です。

 

 

今回取付けることになった6ボルトの140mmディスクブレーキローターですが、現在だと種類もそれほど多くありません。今回はBBB・パワーストップにしました。

 

3. マウントアダプターを140mm用に交換する

 

 

忘れてはならないのがマウントアダプターの変更。プリアンブルのディスクブレーキのマウントタイプは「インターナショナルスタンダード」で、フレームとブレーキキャリパーの間にアダプターが挟まっています。これが203mm、160mm、140mm用と別れています。

 

なので今回は「インターナショナルスタンダード→ポストマウント、ディスクローター径140mm用」のマウントアダプターに交換します。こちらも最近では種類が少なくなってきましたが、シマノの「SM-MA90-R 140mm P/S」が条件に合いました。

 

4. マウントアダプター分のクリアランス調整をする

 

 

さてこれで付けられるかと思った矢先に盲点が発生。リア側に先述の140mmアダプターを取付けようとするとフレームに干渉します。標準装備の160mmアダプターは上手にフレームに当たるのを避けていました。

 

オーナー様とご相談・ご了承を頂いた上で、前回のシングルスピード化で挿入したハブワッシャーの厚みを増やし、クリアランス調整を行い無事取り付けることができました。

 

 

紆余曲折ありましたがEQAULの高い前評判通り、制動力は申し分ありません。特筆すべきはブレーキフィーリングの調整とブレーキパッドのクリアランス調整が可能な点で、軽いだけではなく細かいところにもこだわっていると感じました。

 

5. ホワイトインダストリーズ ENOクランクに交換(2024年12月)

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ポリッシュシルバー化計画もだいぶ進み、前ホイールがSON、後ろホイールがホワイトインダストリーズ、ブレーキがグロータックと堅牢・高精度なパーツで固まってきたので、満を持して「自転車の顔」とも呼ばれるクランクに着手。

 

シングルスピード向けのクランクは様々なブランドから発売されていますが、カスタムの方向性との親和性を考慮し、ホワイトインダストリーズのENOクランクとENOチェーンリングの組合わせを提案させていただき、ご了承を頂きました。

 

 

White Industries Square Taper ENO Cranks

 

クランク長は元のクランクから引続き175mm、チェーンリングは以前交換して調子が良かった「46T」にしました。

 

 

重量は左右クランクが各252g、46Tのチェーンリングが140gでしたので、総重量は644g

 

 

ENOクランクはチェーンリングボルトを使用せず、チェーンリングをロックリングで固定する専用設計。エクスターナルBB用(ホローテック2用)の工具でチェーンリングの着脱が可能です。

 

 

ENOクランクの特徴、というより選んだ理由はこの「まばゆいばかりの鏡面仕上げ」。一緒に交換させていただいたMKS(三ヶ島ペダル)の新商品・Pretzel(プレッツェル)がクランクに映り込んでいます。ここまで輝きつつ、マウンテンバイク向けのクランクは限られています。

 

・AIによる適切なチェーンライン算出と実証

 

 

ENOクランクに交換することで、BB(ボトムブラケット)の形状も引続き「スクエアテーパー」に決まったので、このタイミングでチェーンラインの改善も行います。

 

ENOクランク交換前についていたBBの軸長は124.5mm。プリアンブルは元々多段ギア仕様なので、それに合わせた軸長になっていました。

 

しかしシングルスピードになったことで変速することがなくなり、適切なチェーンラインとは言い難い状態になっていました。ただ、シングルスピード化する時点でクランク交換も視野に入っていたため、取り敢えずそのままになっていました。

 

クランクも決まったので早速チェーンラインの改善…と言いたいところですが、闇雲に軸長の異なるボトムブラケットを交換しながらのトライ・アンド・エラーでは、適切なチェーンラインに近づけるのに時間がかかってしまうので、AIを活用して算出し、実証を行いながらBBを交換しました。

 

以下の図はフレーム情報とクランクセットの情報をAIに与えて得た適切なBBの選定情報になります。

 

 

今回のケースでは理想的なチェーンラインにする、BBの近似値が113mmだったので「シマノ・BB-UN300 68BSA LL113」をチョイス。本命はホワイトインダストリーズのチタンシャフトBBですが、手配に少し時間を要するのでそれまでの代替と、果たして適切な軸長なのか検証もあったため、スタンダードなBBになりました。

 

 

実証の結果としては、理想的なチェーンラインに近づいたことによる効果として、BB交換前にあった「ペダルを漕いだときに重く感じる」のが解消され、なおかつ「ペダルを漕いでいたときになっていたキリキリと言う音が無くなり」非常に静かになったことから、改善されたと評価できます。

 

オーナー様、ありがとうございました。

 

  

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