以前「北海道をTB1eで自転車旅してみたいです。」とオーナー様からご相談を承り、予算30万円以内で全面的なパーミッションを頂き、「基本的には宿に泊まりながら充電して旅をする」スタイルの自転車旅仕様を完成させ、納車させていただきました。
納車とあわせてパンク修理(チューブ交換)に必要なタイヤ・ホイールの着脱方法と荷物の積み方(バランスの取り方)についてお伝えした「特別講習」その後、約半年間のサイクリング体験を経て当初の予定通り、2024年6月下旬から7月上旬にかけて北海道縦断ツーリングに出発し、無事達成いたしました。
この記事ではオーナー様より旅先の写真と出来事を共有していただいたものを、まとめたレポートになります。私も以前、北海道で自転車旅をしたことがあるのでその時からの変化もあわせて解説していきます。
2. 国道231号線を北上していく「日本海側ルート(オロロンライン)」
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この記事は当店でTB1eを「自転車旅仕様」にカスタムさせていただき、納車させていただいたオーナー様へのサポートの一環で行った「特別講習」の記録になります。通常のTB1eの仕様とは大きく異なりますので、予めご承知おきください。
1枚目の画像は出発前の点検にお持ちいただいたときの状態で、2枚目の画像は荷造りを終えた出発直前の様子になります。リアキャリアにサイドバッグとテント、ポリタンク等を載せ、フロントキャリアの代わりにフロントバッグとオーナー様の自作によるアタッチメントによってシュラフ(寝袋)やスリーピングマット等を搭載。
TB1e純正フロントキャリアは前バスケット装着のみを想定しているため、サイドフレームがなく前側のサイドバッグの装着不可だったため、荷物の厳選が課題でしたが最終的には解決し、オーソドックスな長期の自転車旅仕様になりました。
北海道上陸後、オーナー様よりfacebookからご連絡を頂きました。上陸初日は恵庭市のメイプルキャンプ場にて一泊。フェリーの到着時刻は昼過ぎなので、そこから考えると通常のツーリングバイク感覚では驚くほど進めました。
「しっかりした走行ができています。」とご報告も頂き、まずは一安心。
2. 国道231号線を北上していく「日本海側ルート(オロロンライン)」
恵庭市を出発し北海道の中心地・札幌に到着後、今回の旅のメインルート・国道231号線「オロロンライン」から稚内を目指します。
このオロロンラインは自転車、オートバイ問わず旅人の中では稚内を目指すルートの中でも最もメジャーですが、険しい日本海沿岸を走るため坂道が多く、また風力発電の風車が立ち並ぶほど風も強く吹くため、北海道縦断や北海道一周の中でも難所の一つだと私は思います。
この区間では、雄冬岬(おふゆみさき)を眺めることができます。増毛(ましけ)駅はJR留萌本線の廃線に伴い廃駅となっていました。
今回、オーナー様が行かれた時期の天候は荒天が多く、向かい風が強かった日の走れた距離(バッテリー残量が無くなる距離)は66km。
TB1eは標準状態での最大航続距離が200kmとなっていますが、以前にe-bikeに荷物を積載して走れる距離の検証をした結果、このときは1/4まで走れる距離が低下しました。
今回の旅では一日140km走ってもバッテリー残量がある日もありましたが、不利な条件が重なると66kmと1/3まで最大航続距離が低下していたので、同条件に近い場所や荷物の量の場合は1日の走る距離を下方修正した上で計画を立てた方がよいかも知れません。
羽幌町で宿泊先のペアレントさんから「天売島(てうりとう)に行ってみては?」と提案があり、羽幌町フェリーターミナルから自転車を置いて天売島に渡りました。天売島は「海鳥の楽園」とも呼ばれています。
オロロンライン(国道231号線)は天塩町(てしおちょう)まではセイコーマートやキャンプ場、日帰り温泉やガソリンスタンドが点在していますが、天塩町中心部を過ぎてから「サロベツ原野」に入ると雰囲気が変わってきます。
北海道には地平線を望むような広大な平野がいくつかありますが、サロベツ原野もその一つ。私が訪れた際もこのとき写真のような曇天の空模様だったため、荒涼感のある雰囲気でしたがそれもまた非日常的な空間として楽しめました。
ちなみにこのオロロンライン、石狩から稚内にかけてトンネルの数が多く、また交通量も多いため、しっかりと前方を照らせるフロントライトと視認性の高い後方へのリアライトの使用がオススメです。
日本最北端の街・稚内からは利尻島・礼文島に渡れるフェリーが出ているので、そこから礼文島にTB1eも載せて向かいました。目的地は「桃岩荘YH(ユースホステル)」です。
桃岩荘YHは旅人の中でも「知られた」場所なのですが、私が行った当時は、数日間キャンプ続きで携帯電話の充電が切れかかっていたのでその充電が目的で宿泊したので「予備知識がない」状態でした。
そんな状態で玄関を開けて早々に「熱烈な歓迎」を受けて、あれよあれよと桃岩荘のペースに巻き込まれて混乱したのは今となっては良い(?)思い出です。
オーナー様も以前に北海道を旅されていたときに、桃岩荘に宿泊されたことがあったので、久しぶりに「帰ってきた」のですが、戻ってこられてから感想を聞いてみたところ『昔と変わっていなかったです(笑)』との事でした。
それでも「愛とロマンの8時間コース」はルートが少し変更されていたり、若いヘルパーさんや海外からの旅人も多くなっていたりと変化はあったそうです。
礼文島から稚内に戻り、左に見えるのが日本海ではなくオホーツク海になり、日本最北端の岬・宗谷岬に到着しました。
宗谷岬を出発した後、オホーツク海の沿岸に延びる国道238号線を走られました。流氷が有名な地域ですが、海産物の直売場も点在しており、当時はホッケやホタテを食べながらサイクリングした記憶があります。8月でも平均気温が22℃前後で、湿度もそれほど高くないので快適でした。また、海沿いのキャンプ場で一泊すると日の出と共に目を覚ますことができます。
帰りも苫小牧港からのフェリーに乗るため、オホーツク海側から内陸の音威子府(おといねっぷ)、そこから美瑛町(びえいちょう)、上富良野町に向かわれました。天候も安定し、美瑛のパッチワークのような景色は圧巻です。
e-bikeで自転車旅をする場合の課題、キャンプ場でのバッテリー充電問題は有料キャンプ場では出来ることが多かったようです。また、北海道を旅しているとオートバイについているペナント(旗)が目につきますが、これはガソリンスタンドの「ホクレン」が夏季のキャンペーンで実施しているものになります。
オートバイのライダーに対し、自転車は「チャリダー」という呼び方をすることがありますが、ライダーとチャリダーがすれ違うときピースサインだったり、会釈して挨拶することが北海道では多いです。これはお互いの旅の無事を祈ったり、楽しんでねという気持ちを表現しています。
楽しかった北海道縦断の旅を終え、苫小牧港に戻ってきました。大型のフェリーでは輪行せずに自転車をそのまま乗船できる場合があります。「さんふらわぁ」でも乗船できますが、乗船の順番は自動車→オートバイ→自転車の順になり少し時間がかかるので、あらかじめお手洗い等に行って、準備を整えてから待機時間に備えておくと良いでしょう。
私も船旅は苫小牧(北海道)-大洗(茨城)、竹芝桟橋(東京)-門司(福岡)の1日以上の乗船や、離島などへの乗船も何度かあります。竹芝桟橋-門司のときは荒天で大変でしたが、フェリー内の浴場やレストラン等々楽しみも多いので好きです。
自転車旅は船旅、電車旅、車旅と組合わせ出来るのが楽しみ方の一つでもありますので、ぜひチャレンジしてみてください。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
そしてオーナー様、ありがとうございました。次の旅に向けて引続きサポートさせていただきます。
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