今回はオーナー様よりフルカスタムのご依頼を頂き、お仕上げさせていただいた自転車をご紹介します。
Cinelli
VIGORELLI
今回のご依頼内容はオーナー様よりご要望に沿った形で「ドライブトレイン」に最も予算をかけ、参考にさせていただいたイメージ画像に近い雰囲気でパーツチョイスをさせていただいて「オーナー様のご要望を叶えた、世界で一台のオリジナルピストバイク」に仕上がりました。
今回のカスタマイズにあたってオーナー様よりご指名いただいた部分が、チェーンやギアなどの「ドライブトレイン」。
ドライブトレインはクランクセット、ボトムブラケット(BB)、チェーン、リアスプロケット等の総称で、ペダルから伝達された力を上記部品を介してリアホイールに伝えて、その結果自転車が進む「心臓部」とも言える重要な機構。
VIGORELLIはトラックフレームであり変速機能もないため、シンプルにドライブトレインの性能が走行に大きく影響します。
オーナー様より「ペダルの踏み込み・回転のロスを少なく速く走りたい。」と強いご要望があり、
ドライブトレインの中でも「自転車の顔」と評されることもあるクランクセットには、最高品質のものをセレクト。
Sugino
SG75DD2 ダイレクトドライブ
ダイレクトクランクの構造はロードバイク等で一般的なエクスターナルBB(BBシャフトが右クランクに予め嵌合)。代表的なところでいえばシマノ・ホローテック2と同様の構造をしています。
ボトムブラケットの取付けに必要な工具も同じですが、締付けトルクはクランクに刻印されていないものの、ディーラーマニュアルによると14-16N・mと少し高めになっています。
コグももちろん妥協せずに
Sugino
Fixie 75 スプロケット
をチョイス。
クランクセットと同様にCNC加工による精密加工で作り出された、SG75DD2 ダイレクトクランクの相方にふさわしい逸品。
Fixie75スプロケットを取付ける際の注意点として、コグ以外に別途クラスター&ロックリングセットが必要です。先述のホローテック2用の工具でロックリングの脱着ができるため、付替えが簡単なのはメカニック視点だと嬉しいポイント。
ちなみにクラスター本体は逆ネジ、ロックリングは正ネジとなっているので注意が必要です。
最高品質のクランクセットとコグをつなぐ、黄金に輝くチェーンは
IZUMI
Vチェーン
トラック競技のアスリート御用達チェーンですが、他の一般的なチェーンと構造が少し異なります。
通常、チェーンはコネクティングピンやミッシングリンク等でチェーン同士を連結させていますが、Vチェーンはネジ式のジョイントで繋ぎます。そのため取付けに必要な工具もチェーンカッター以外に、マイナスドライバーと裏側のナットをおさえる7mmスパナが必要です。
ドライブトレインを組付けてみると、クランクとフレーム(チェーンステー)のクリアランスが極限まで少なくなっており、あらためてずば抜けた精度の高さが実感できます。
先述の通り、ドライブトレインのご指名以外は参考にさせていただいたイメージ画像に近い雰囲気に仕上げることを条件に、パーツアッセンブルに関しては全面的なパーミッションを頂きました。
ハンドル周りはCinelliと同じイタリアの老舗ブランド・DEDA(デダ)を中心に、ハンドルは操作性重視で敢えてトラックタイプではなくアナトミックタイプ、ブレーキレバーはBMX用ではなくドロップハンドル用のサブブレーキレバーをセレクト。リーチを長くとってブレーキ操作がしやすいようにしました。
ブレーキは当初予定していたものが入荷が遅れていたため、第2候補の制動力の高いシマノ・105グレードに変更。
その他の部分は予算を抑えつつ、VIGORELLIの纏う雰囲気を引立たせるべく色数が増えないよう留意しながらも、高性能なフレームとドライブトレインの枷にならないようチョイスしました。
部品が揃うまでお時間を頂戴しましたが、完成した姿をご覧いただいた際は大変喜んでいただけました。
オーナー様、どうもありがとうございました。
ご縁があって納車・修理・メンテナンスをさせていただいた、皆様の大切な愛車の記録です。
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