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2024年9月8日

【納車紹介】TB1e 自転車旅仕様カスタム - 日本最北端を目指します -

相模原中央店

 

「北海道をTB1eで自転車旅してみたいです。」とオーナー様からご相談を承り、予算30万円以内で全面的なパーミッションを頂き、「基本的には宿に泊まりながら充電して旅をする」スタイルの自転車旅仕様を完成させ、納車させていただきました。

 

今回は施工させていただいたカスタムの中でも要点をご紹介させていただきます。

 

【目次】

 1. カスタムのコンセプト

 2. タイヤ・チューブ・ホイール

  ・IRC 足楽

  ・「米式バルブ」に変更

  ・足まわりの強化

 3. ブレーキ

  ・前ブレーキを「シマノ製Vブレーキ」に変更

  ・前ブレーキシューを「ロードバイク用カードリッジ式ブレーキシューが使える」タイプに変更

  ・後ろブレーキを「ハイパーローラーブレーキ」に変更

 4. グリップとサドル

  ・エルゴン GP3

  ・タイオガ バックスオーラ

 5. キャリアとバスケット

 6. サイドバッグ

 7. その他のオプションパーツ

 8. まとめ

 9. 北海道縦断前の点検

 

【あわせて読みたい】

>> 【特別講習】TB1e 自転車旅仕様カスタム - 旅先でのメンテナンス方法・出発前の準備方法 -

 

この記事は当店でTB1eを「自転車旅仕様」にカスタムさせていただき、納車させていただいたオーナー様へのサポートの一環で行った「特別講習」の記録になります。通常のTB1eの仕様とは大きく異なりますので、予めご承知おきください。

 

>> TB1e「自転車旅仕様カスタム」による北海道縦断ツーリングのレポート

 

1. カスタムのコンセプト

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オーナー様から最初にご相談いただいたのは「最大200km走れるTB1eで、北海道を自転車旅をしてみたい。」あわせて自転車旅ができる状態にしてほしいという内容でした。

 

もともと通勤・通学向けに設計されているTB1eの「日常の利便性」は抜群ですが、生活用品一式を運びながら険しい海岸線や峠道も連日走り続け、かつサポートを受けられる場所も限られるため、カスタムのコンセプトは「耐久性・快適性の向上」を中心としたカタチをご提案。

 

具体的には

・重たい荷物を載せても安定するタイヤへの変更

・前後ブレーキの強化

・長時間の乗車でも疲労を軽減させる体に触れる部品(グリップ・サドル)のグレードアップ

 

以上の項目を重点的にカスタムしました。次からは個別の紹介になります。

 

2. タイヤ・チューブ・ホイール

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荷物を積載する自転車旅において特に重要なのが「重たい荷物を載せても安定するタイヤ」の存在。前後左右に荷物を載せながら走るのでバランスを取るのが通常時よりも難しくなるため、タイヤには耐摩耗性能だけではなく耐荷重性能も求められます。

 

ツーリング用タイヤの定番といえばシュワルベ・マラソン。ほぼ一択になるほどツーリスト御用達ですが、27インチ(WO)規格ではラインナップがありません。そこで今回はIRC・足楽をチョイスしました。

 

・IRC 足楽

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足楽は電動アシスト自転車用のタイヤに必要な性能を満たしつつ、より快適に乗るための工夫が施された高性能タイヤ。

 

 

数ある特徴の中でも100kg近い重量にも耐えられる設計は足楽の大きな長所です。

 

 

上の表は私が以前にオーストラリアを縦断した際に使っていたモノの重量を計算してまとめたものになりますが、自転車と荷物の総重量で約33kg。これに乗車時の体重がかかってくるので、仮に体重が65kgだとしたら耐荷重100kgまで簡単に迫ります。

 

「電動アシスト自転車」であるTB1eの車体重量は22.5kg。これからキャリアやバスケットの重量も加わるため、タイヤを強化したとは言え荷物の厳選は必要です。

 

 

足楽の指定空気圧は「300KPa」ですが、スポーツバイク用の空気入れでよく用いられている単位、PSIとBARに換算すると「43PSI/3.0BAR」になります。

 

・「米式バルブ」に変更

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TB1eに標準装備されているチューブは「英式」といわゆる一般自転車のタイプ。街乗りであれば空気を入れられるスポットも多く利便性に長けていますが、今回は自動車等と同じ「米式/シュレーダーバルブ」に変更しました。

 

このカスタムの狙いは「空気圧を正確に測定できる点」「スポーツバイク用の空気入れが使用できる点」になります。自転車旅においてタイヤの空気圧管理は生命線といっても良いぐらいで、空気圧が不足すればペダルを漕ぐのも大変で、パンクした時のリカバリーも積載している荷物を降ろして…と面倒です。なので可能な限り「パンクさせない」「効率良く走行できる」ためにも空気圧が測定できる米式(または仏式)がオススメです。

 

・足まわりの強化

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今回のタイヤ・チューブのグレードアップにあわせて、ホイールのスポークテンションも再度チェックし、荷重によりスポークとニップルの緩み対策として「緩み止め」を塗布しました。

 

3. ブレーキ

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TB1eのブレーキは前が「パワーモジュレーター付きのVブレーキ」後ろが「フィン付きのローラーブレーキ」がそれぞれ搭載されています。

 

前ブレーキの「パワーモジュレーター」によって過剰なブレーキングパワーを軽減し、後ろブレーキは耳障りなブレーキ音が少ないと街乗り用途としては過不足のない性能となっていますが、自転車旅では◯◯峠という長く、時にはタイトな下り坂を荷物を積載した状態で下るケースも多々あるので、今回はブレーキ性能の向上にも着手しました。

 

・前ブレーキを「シマノ製Vブレーキ」に変更

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グレードアップに関して、Vブレーキは価格差が大きいのが特徴。普及グレードの次はいきなり高級になるようなイメージなので、今回は普及グレードの中でも確かな制動力をもつシマノ・BR-T4000をチョイス。

 

・前ブレーキシューを「ロードバイク用カードリッジ式ブレーキシューが使える」タイプに変更

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リムブレーキの制動力の底上げとして古くから定番なのが、カードリッジ式のブレーキシューに交換する方法。アルミ製のブレーキホルダーにより剛性が増してたわみにくくなり、カチッとしたブレーキフィーリングになりやすくなります。

 

特にロードバイクで採用されている「キャリパーブレーキ」は歴史も長いため、今でこそディスクブレーキ採用車が増えてきていますが交換用のブレーキシューの種類も豊富です。

 

一方でVブレーキでもカードリッジ式はありますが、Vブレーキをメインに搭載していたマウンテンバイクは、今ではディスクブレーキが基本となりつつあるため、キャリパーブレーキと比べると種類は少なくなっています。

 

そこで今回、ブレーキ性能の底上げと交換時のブレーキシューの選択肢を増やすため「タイオガ・453CV-2」という「ロードバイク用カードリッジ式ブレーキパッドが使えるVブレーキシュー」に交換しました。

 

・後ろブレーキを「ハイパーローラーブレーキ」に変更

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一般自転車でよく採用されているローラーブレーキですが、実は上位グレードが存在します。ただ通常販売している自転車に採用されていることはほとんど無いため、知る人ぞ知るみたいな部品です。

 

今回交換したのは「シマノ・BR-C3000 122mm」というフィン付きローラーブレーキ。TB1eに搭載されているローラーブレーキもフィン付きですがさらに大型の「ハイパーローラーブレーキ」と呼ばれるタイプになります。

 

その特徴は放熱性を高めるフィンで、車体重量がある電動アシスト自転車で坂を下る際、ブレーキをかけて発生する熱エネルギーを効率よく放熱して安定した制動力を得られる代物です。

  

 

ブレーキ単体の重量は実測で605g。

 

 

ハイパーローラーブレーキはセッティング方法が通常タイプと少し異なります。

 

4. グリップとサドル

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自転車旅仕様へのカスタムの要点は、旅先でのリペアも見越した上での足回り(タイヤ・ホイール)とブレーキの強化ですが、もう一つ手を加えたほうがよいのが「長時間の乗車でも疲労を軽減させる体に触れる部品(グリップ・サドル等)のグレードアップ

 

 

・エルゴン GP3

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グリップは自転車に乗る上で常に触り続ける部品で、手のひらからの体温や汗、または紫外線等で痛む「消耗品」です。定期的に交換が必要ですがここに投資をすると「手が痛くなりにくくて快適」という高いリターンが得られます。

 

 

人間工学に基づいたカタチ「エルゴノミックデザイン」を自転車のグリップに取り入れた先駆け・ERGON(エルゴン)のバーエンド付きタイプ・GP3をチョイス。手の疲れは集中力低下にもつながるので、安全面という観点からも疲れにくいグリップはオススメです。

 

・タイオガ バックスオーラ

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自転車に長時間乗り続けると発生することが多い「お尻の痛み」。

 

解決方法は様々なアプローチがありますが、バイクフィッティングの観点からだと自転車における「お尻の痛み」の原因は、骨盤の幅に合っていないサドルを使用して本来の位置からずれてしまうことも原因の一つ。

 

例えばサドルの位置が適切ではないとき、本来はハンドル、ペダル、サドルに体重を分散させるのがサドルだけに過度に体重がかかってしまうのも原因になります。また、腰まわりの筋力量も影響します。

 

今回選択していただいたタイオガ・バックスオーラは座骨幅70mm~200mmに対応しているコンフォートタイプのサドル。

 
坐骨幅にあわせたサドルにすることで姿勢(フォーム)が安定するので、そこから徐々に微調整するのがオススメ。また、パッド入りショーツを着用して坐骨への圧迫を軽減させるのも有効です。

 

5. キャリアとバスケット

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積載能力を大きく左右するキャリアは今回前後とも「純正品」の組合わせを選択しました。

 

フロントキャリアを装着するにあたって課題となるのが、TB1eは「フロントドライブ(ハブナット止め)」と「フロントキャリア用のダボ穴がない」という特徴があります。サイドバッグを付けられる部分が付いているものとなると、方法は限定されます。

 
考えられる方法として1つ目が「SOMA ポーターラックデラックスの装着」2つ目が「tubus フロントフォーク用マウントセットを装着後、フロントキャリアを装着」が案として考えられましたが


課題になりそうなのは、1つ目はTB1eのハブ軸とラックの部分の径が合うか?2つ目はドライブユニット周辺のマウントとの干渉(もしくは付かない)が想定され、今回のケースでは確実性の低さと荷物の省略化で見送りました。

 

6. サイドバッグ

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リアキャリアに装着するサイドバッグはツーリストの憧れで完全防水サイドバッグの最高峰、オルトリーブ・バックローラークラシック。

 

自転車旅では豪雨の中を走ったり、1週間まるまる雨だったり、突然のスコールに降られたりということもあります。バッグの中の着替えを濡らすことなく、シンプルに荷物の出入れがしやすく、そして壊れにくい。それらの条件を満たすサイドバッグの最高峰がオルトリーブのバックローラークラシックです。

 

 

バッグの内側にファスナーで仕分けできるポケットが付いているため、着替え、食料、キャンプ道具等を頻繁に出入れしても邪魔にならないのはポイント高いです。以前は流通量が少なかったためか入手困難でまさに高値の花でした。

 

7. その他のオプションパーツ

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サイクルボトルはTHERMOS(サーモス)をチョイス。炎天下の中でのサイクリングでは当然ながら適切な水分補給が欠かせません。魔法瓶構造で保冷効果に優れ、ドリンクにボトルの匂いがうつることも少なく、飲み口をくわえても一気に飲める構造になっているので便利です。

 

 

ポータブルポンプはパナレーサーの「ケージ付きワンタッチミニフロアポンプ(BMP-24AEZ-B)」をチョイス。

 

先述の空気圧を測定できる米式チューブに変更しましたが、空気を入れる際はなるべく体重をかけられるタイプの方がポンピング回数も少なくラクに入れることができます。パンクのときだけではなく、出先での空気圧管理も便利です。

 

8. まとめ

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オーナー様は北海道の自転車旅では、富良野、稚内、そして礼文島のユースホステルを目指されるとの事。実際にすべて自転車で訪れたことがあり、どこも素晴らしかったですが、特に礼文島のユースホステルはクレイジー個性的なので楽しんでいただけると思います。

 

特別講習では前後輪の着脱やブレーキ調整をみっちり2時間程行いました。当店のテーマ「自転車旅を、より身近に。」の通り、サポート等で応援していきたいと思います。オーナー様、ありがとうございました。

 

9. 北海道縦断前の点検

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いよいよ北海道へ出発されるので、出発前の点検にお越しいただきました。

 

TB1eを自転車旅仕様にするために、ツーリングの実体験から「タイヤ等の足回りの強化」「前後ブレーキの強化」を中心に、疲労や痛みを軽減させるグリップやサドル、その他色々……すべては「大きなマシントラブル無く、楽しみながら無事完走できるように。」を意識したカスタム。

 

旅先でも自力でパンク修理ができるように、レジュメを作成して実際に前後のチューブ交換を行った「特別講習」。

 

少しずつ走行距離を延ばしながら、必要なものを精査してもらい準備は整いました。

 

今回のルートは北海道の最北端、稚内及び宗谷岬を目指し、大洗から苫小牧まではフェリーを使って向かいます。私も何度かフェリーによる船旅はしたことはありますが、ゆったりだったり、時に荒天時の揺れなど、独特の非日常感は記憶に残ります。入船する際に、自動車→オートバイ→自転車の順で入っていき、船内の壁にロープで固定するのも中々貴重な体験です。

 

北海道の自転車旅はセイコーマートを休憩の目印にしていくと、飲料と食料の補給がスムーズです。

 

特別講習を実践しなくて無事に完走できれば幸いです。e-bikeによる自転車旅を満喫してきてくださいね。

 

  

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