お客様より修理のオーダーを承りまして、今回はそのときの作業の様子をご紹介させていただきます。
バイクはビアンキ・Minivero-7(ミニベロ7)。伝統的なカラーリングの「チェレステ」ではなく、深みのあるグリーンです。
こちらが作業前の状態。しばらく乗っていなかったので、消耗品はかなり傷んでおり、鉄・アルミパーツはサビが目立つ状態。幸いにもフレームの変形はなかったので作業することができました。
今回のメニューは、
1. タイヤ・チューブの交換
2. ブレーキレバー・ブレーキワイヤー・ブレーキシューの交換
3. シフトワイヤー・シフターの交換
4. チェーン・ペダルの交換
5. サドルの交換
6. ステム・グリップの交換
7. スタンドの交換
8. ヘッドセットのグリスUP
9. ハブのグリスUP
10. 点検
と、安全・安心に関わる基本的な消耗品を全て交換し、体に触れる部品をリフレッシュさせ、経年劣化していたグリスを入替えて、クリーニングすれば再利用できる部品以外は全交換という、オーバーホールというよりは「レストア」に近い作業でした。
レストアやフルオーバーホールの予算としては、修理するよりも買替えたほうが費用を抑えることができ、スポーツバイクの新車も購入できるぐらいの金額になりますが、「買替えは考えていなかったのでこれでお願いします。」と強い意思もあり、今回の作業を承ることになりました。
今回はフレームクリーニングの作業内容の一部をご紹介させていただきます。
今回の作業では付いていた部品の再利用よりも交換する部品の方が多かったのでどんどん外してから、マルチフォーミングクリーナーでまずは洗浄します。フレームや再利用する部品の表面に付いた花粉や油汚れを取除きます。
今回施工するフレームはグロスカラー(艶あり)ですが、長年の屋外放置で艶を失いくすんだ印象に。そこでスクラッチリムーバーとポリッシャーを使用して艶出しを行いました。
スクラッチリムーバーはミクロサイズの細かいコンパウンド(研磨剤)粒子を配合しているので、大きかったり深い傷を落とすことはできませんが、塗装表面をキレイにするのに向いています。
スクラッチリムーバーで艶出しをした後、再びマルチフォーミングクリーナーでコンパウンド粒子の残りを除去し、仕上げにバリアスコートでガラス系コーティングをかけました。
屋外保管による紫外線による塗装面の変色や雨・ほこり等による色ムラで「くすんだ印象」になっていましたが、コンパウンドで塗装のクリア面を薄く研磨することで、艶を取戻すことができました。
フロントフォークもヘッドセットのベアリング交換作業を行うため取外し、その前に先述の艶出しを行います。
フェンダーとブレーキを一度取外し、フロントフォーク単体にしてから先程と同じく「洗浄→コンパウンドで研磨→洗浄→ガラス系コーティング」の順で磨いていくと、
フレームと同じく艶を取戻すことができました。
チェーンリングガードに発生していたサビはペーパーで落とし、ペダルは「GP C089DUペダル」に交換。元々付いていたペダルに近い小ぶりなサイズです。
ハンドル周りはハンドル以外の部品を全て交換しました。
ステムはバークランプ径25.4mm/突き出し長100mm程のスレッドタイプで、かつアングルも上向き。こちらもサビにより触ると手や服に白っぽい跡がつくので交換。「GP HS-C80-2 スレッドステム」というクルーザー向けのステムが丁度よかったのでこちらにしました。
ブレーキレバーはブラケット部分がブラック、レバー部分がシルバーだったので、雰囲気がそのままな「プロマックス BL-46」、グリップは合成皮革と手縫いステッチがクラシックな雰囲気を引立てる「GP HBG153グリップ」のライトブラウンをチョイス。
ミニベロ7に付いているハンドル形状がライザータイプで、後述のシフターと合わせて取付けスペースが少ないのですが、グリップの長さが125mmと絶妙に短いので、ピッタリと収まりました。
シフターは「シマノ SL-FT557R」という"サムシフター"タイプになります。7Speed用シフターには他にも「SL-M315-7R」など"ラピッドファイヤー"タイプもありますが、取付け部分の兼ね合いからグリップの長さが極端に短くなってしまうため、今回は引続きサムシフタータイプになりました。
コンポーネント等は主にサンレース製のものが付いていましたが、シマノ製のコンポーネントで再構築。
リアディレイラーは「RD-M310」、カセットスプロケットは「CS-HG41-7S」、チェーンは「CN-HG40」、ボトムブラケットは元の長さが121mmに対し、当店で手配できるモノで近い長さの「BB-UN300 122mm」で組替えました。
センタースタンド、ホイールのクイックリリースレバーもサビが目立っていたので交換。センタースタンドは「GP NH-KC39AAJ アジャスタブルセンタースタンド」、クイックリリースレバーは「タイオガ オフセットクイックリリースセット リアエンド幅130mm」へ。
サドルは「GP VL-1962 サドル」をチョイス。キャンバス生地のような平織りのテクスチャが、ミニベロ7の柔らかい雰囲気にマッチ。
改めてレストア後の状態。「普通に乗れる状態」まで復活させることができました。オーナー様、ありがとうございました。
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