お客様より修理のオーダーを承りまして、今回はそのときの作業の様子をご紹介させていただきます。
バイクは丸石・エンペラーツーリングマスター。650Aサイズのタイヤを履いた正統派のランドナーです。
こちらが作業前の状態。オーナー様は何台かスポーツバイクを所有されており、しばらく休眠していたこちらのランドナーを気軽に輪行して乗れるよう、ハブやボトムブラケットのグリスアップ、サビが出ていた部品は交換し、アメサイドのタイヤに合わせて全体をコーディネートしました。
よって、今回のメニューは
1. ブレーキワイヤーの交換
2. シフトワイヤーの交換
3. ブレーキパッドの交換
4. チェーンの交換
5. タイヤ・チューブの交換
6. ヘッドセットの交換
7. ハブのクリーニング
8. ボトムブラケットのクリーニング
9. フレームのクリーニング
10. バーテープの交換
11. ブレーキレバーカバーの交換
12. ペダルの交換
13. サドルの交換
14. 点検
と、いわゆる " オーバーホール " という作業でした。
様々なパーツを使用し作業させていただきましたが、今回はタイヤ交換、ヘッドセット交換、バーテープ・ブレーキレバーカバー交換、サドル・ペダル交換の作業内容の一部をご紹介させていただきます。
今回のオーバーホールのメインとなったアメサイドのタイヤを中心としたコーディネート。その主役となったのがランドナータイヤの王道とも言えるパナレーサー・コルデラヴィ。
一般自転車のタイヤをひとまわり太くなっていて、長期にわたって自転車旅をするにあたり、生活物資を前後キャリアに載せて走っても簡単にふらつかないようになっています。
コルデラヴィに履き替えただけで、グッと旅用自転車の雰囲気が出てきます。
コルデラヴィの重量は631g。
コルデラヴィに適合するサイズのパナレーサー製チューブの重量は213g。
前輪のトータル重量は1724g。クロスバイクやロードバイクと比べれば重たい方になりますが、荷物を支えるためにスポークの本数が36本と多くなっており、旅先でのスポーク破断を避ける狙いや、仮に破断してしまったとしてもスポークの入手が比較的容易になっているため、リスクヘッジを図った仕様の結果ともいえます。
ベアリングの中でサビつきが進んでいたヘッドセットは交換することになりました。使用したのはダイアコンペから発売しているランドナー向けのヘッドセット。重量は147gです。
ランドナーの輪行はコンパクトにできるよう、フロントフォークを外して行う"フォーク抜き輪行 "ができるようになっています。ただ、フロントフォークを抜くとベアリングが落っこちてしまうリスクがあるため、ランドナー用のヘッドセットはベアリングが落っこちないように工夫されています。
ヘッドセットの取付けには、専用の工具を使って圧入します。
コルデラヴィのアメ色に合わせて、ブレーキレバーのカバーもアメ色に変更し、バーテープはDEDAのキャメルカラーで雰囲気を統一。
今回の作業で驚いたのが、お持込み頂いた革サドルがイデアル製だったこと。
イデアルはブルックスと並ぶ伝統的な革サドルのメーカーで、私が大学生の時に組立てたサーリーのツーリングバイクのパーツ構成を考える際、ランドナーのパーツ構成を調べていたときにはすでに入手困難な一品となっていました。
オーナー様も以前に購入してそのまま保管し、およそ20年ぶりに取付けることになりました。
革サドルは最初はかなり固く、革サドル用のクリームを表面と裏面を少しずつ塗り込み、実際に座って慣らしてお尻のカタチに変形させていきます。その後の座り心地は適度な反発があって乗り心地が良くなってきます。
現在では人間工学に基づいたデザインのサドルも多くあり、乗り心地はそちらの方が良いということもありますが、革サドルには革の質感など理屈ではない良さがあります。
ペダルは鉄板の三ヶ島・シルバン。
あらためて完成した全体図。オーナー様の狙い通り、タイヤ、バーテープ、ブレーキレバーカバー、サドルが茶色&アメ色で統一されて、お持ち頂いた時とは違った印象になりました。 オーナー様にも大変喜んでいただき良かったです。
オーナー様、この度は修理のご依頼とブログ・SNS掲載を快諾していただき、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
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相模原中央店 岐部
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